人間の本来の食物は何か : 健康、正しい食生活、栄養バランスの取れた食事

【人間の本来の食物は何か】
まず第一に、われわれの本来自然の食物が何であるかを知るために、消化器である歯と消化管の形状と、動物が食物をみつけたときに示す感覚器官の反応と、母乳について観察してみよう。
【歯の観察】
歯について見ると、肉食動物の場合は、門歯はあまり発達していないが、犬歯は獲物を捕らえるために著しく長く、なめらかで、とがっている。そして、臼歯もまたとがっており、それらの先は上下が重ならず、獲物の筋肉繊維を引き裂くのに都合がよいように、横に沿って並んでいる。

草食動物の場合は、門歯が特に発達しており、犬歯は発達していない(もっとも、象のように、犬歯が武器として発達した例外もある)。また、臼歯は先が平たくて面積が広く、側面だけがほうろう質になっている。

果食動物の場合は、歯全体がほぼ同じ高さである。犬歯はわずかに長く円錐形であるが、鋭くはない(これは明らかに、獲物を捕らえるための形ではなく、強くかむための形である)。臼歯は先が広くなっているが、食物をかんで歯を横にずらしたときに食物が歯の横へこぼれ落ちないように、歯の上面にほうろう質のひだがあり、肉をかむのに好都合なとがった形はしていない。

一方、熊のような雑食動物は、門歯は草食動物のそれに似ており、犬歯は肉食動物のそれに似ており、臼歯は双方の目的に合うように、とがったものと平たいものの両方をそなえている。

さて、人間の歯を観察してみると、それは肉食動物の歯にも、草食動物の歯にも、雑食動物の歯にも似ていない。そして、まさに果食動物の歯の特徴をそのままもっているのである。このことからまず、人間のからだは果実(果物、木の実、穀物、根菜類など)を常食とする果食動物であると推論することができる。

【消化管の観察】
次に消化管を観察してみると、肉食動物の場合は、腸の長さが体長(口から肛門まで)の3倍ないし5倍で、胃の形状はほぼ球形をしている。草食動物の場合は、腸の長さが体長の20倍ないし28倍もあり、その胃は大きく複雑な構造をしている。これに対し、果食動物の場合は、腸の長さが体長の10倍ないし12倍で、その胃は肉食動物の胃よりやや大きく、しかも腸との間に、第ニの胃である十二指腸をもっている。

これは、人間の消化管の構造と全く同じである。解剖学では、人間の腸の長さは身長の3倍ないし5倍であるとされているが、これは、前述の口から肛門までの体長のかわりに、頭の先から足の裏までの身長を基準にしているからである。以上のことからもまた、人間のからだは果食動物であると推論することができる。

【感覚器官の観察】
次に、動物の感覚器官が食物に対して示す本能的な反応について観察してみよう。つまり、あらゆる動物は、これによって自分の正しい食物を判別しているのである。
肉食動物は、自分の食物を見つけると、大きな喜びが湧いてきて、そのため、目はらんらんと輝いてくる。そして、猛然と襲いかかって獲物を捕らえると、流れ出る血を貪りなめる。これに反して、草食動物は、食物に血がかかっていると、それを避けて食べようとしない。彼らの嗅覚と視覚は、彼らが喜びをもって食べられるようなほかの草を選ぶように仕向けるのである。同様に、果食動物は、その本能的感覚の働きによって、食物を、木の実や草の実に求めようとする。

人間においては、どんな人種でも、その嗅覚や、聴覚や、視覚に刺激されて他の動物を襲って殺したくなるような本能はない。むしろ、他の動物が殺される場面を目撃するのは、耐えられないくらいである。そのため、屠殺場は町から離れた人目に付かない場所に造られるし、また、肉類をおおいなしで輸送することを禁じた法令も多い。このように、人間の目や鼻は、肉というものに対して、料理したり、調味料や香辛料でごまかさないかぎり、これを避けようとする性質がある。そのような肉が、人間の自然な食物であると考えることができるであろうか。一方、われわれは果物の香りを嗅ぐと、自然に喜びが湧いてきて、口の中が唾液で潤ってくる。穀物や根菜のたぐいも、わずかではあるが、調理しないままでも好ましい味や香りを感じさせる。このことからもまた、人間のからだは果食動物としてつくられたと推論されるのである。

【乳児の食物の観察】
もう一つ、母乳について観察してみよう。母乳は明らかに、生まれたばかりの子供の食物であるが、人間の母乳は、自然な食物として、果物や、穀物や、野菜などを食べないと、充分な母乳が出ないのである。

【病気の原因】
以上に述べた観察から合理的に引き出される唯一の結論は、各種の穀物と、果物と、根菜類と、さらに飲料としては、乳と、空気や日光にさらされた清水とが、間違いなく、人間にとって自然な最良の食物だということである。これらの食物は、各人の消化機能に応じて摂取すれば、人体にとって最適であるため、よく咀嚼され、唾液と混じり合って、正しく人体に同化されるのである。

他の食物は、人間の本来自然の食物ではないため、人体に適合しておらず、胃に送られても、完全には人体に同化されない。血液の中に混入したそれらの異物は、排泄器官に送られたり、または、体内のいろいろな器官の内部に蓄積される。そして、それが排泄されないまま溜まってくると、引力の法則によって体内組織の間隙に沈殿し、やがて発酵して、肉体的あるいは精神的病気を引き起こし、ついには、早死にを招くことにもなるのである。

【子供の発育】
また、子供に、刺激的な材料を用いない自然の菜食を与えて実験したところ、その発育に及ぼす効果は、肉体的にも精神的にも、ほとんど例外なくすばらしいものであった。子供たちはまた、注意力、理解力、主要な技能、落ち着き、総合的な性格、等においても、正しい発育を示したのである。


※インドの聖者の書いた本「聖なる科学」の、P51~P56より転載。
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※ただし、最近の果物は糖度が高いので注意。

※日本でフルータリアンになるのは困難かと。
http://d.hatena.ne.jp/uneki2012/20131209/1386602148