肉食のほうが長生きできる?


肉食のアメリカ人は、日本人よりはるかに頑強にみえます。日本とアメリカをくらべて、100歳以上の長寿者の割合はアメリカのほうが多いというデータがあります。
わが国でも、東京都老人研究所が、長生きの条件について、都内に住む70歳以上の老人を15年間追跡調査した結果があります。
それによると、長生きの条件で食生活に関するものとして、「血中のアルブミン蛋白が多い」「血色素が多い」「太り方は中くらい」「牛乳を飲む」「油脂の料理をよくとる」などが挙げられています。
同調査は、100歳以上の人の食生活も調べていて、男性の100パーセント、女性の80パーセントが毎日欠かさずに肉、魚などの動物性食品をとっていたというのです。
これらの報告をもとに、肉食の優位性を強調する医師や栄養学者がいますが、果たしてそうなのでしょうか。
甲田博士は、「アメリカのほうに100歳以上の長寿者の割合が多いのは肉食のおかげ」という見方には賛同しかねると、つぎのようにいいます。
「高齢になると痴呆症の1種のアルツハイマー病がふえてきます。老人性痴呆症の患者さんの数字を比較すると、日本では人口1億2600万人のうちで約150万人、アメリカは人口2億3000万人にたいして約400万人です。アメリカのほうがはるかに多いことがおわかりでしょう。これでも肉食がよいと軍配を上げることができるのでしょうか」
さらに甲田博士は、生活習慣と寿命の関係を知るには、動物性食品の摂取量だけでなく、(1)食事の量 (2)水分摂取の量 (3)飲酒の量 (4)喫煙の量 (5)砂糖の摂取量 (6)ストレスの程度や量 (7)睡眠時間、などから総合的に判断しないと結論はでないし、意味がないといいます。
また、東京老人研究所が行なった調査の結果には、疑問を呈する医師がすくなからずいることをつけ加えておきます。
ちなみに、甲田博士は基本的には肉食否定論者で、いっさい動物の肉は食べていません。肉食は殺生の最たるものだからです。肉食は気性を荒くし、菜食は気性をやさしくするのも事実であると、甲田博士はいいます。



東 茂由著、甲田 光雄(監修)「長生きしたければ朝食は抜きなさい」
P51〜P52より転載しました。
http://amzn.to/SQOkKF
全文転載したいくらい良い本でした。